鎌倉時代の大蔵派にならった古代型五輪塔が完成!茨城県産やさとみかげ、新宿区寺院墓地
東京都一円にて、お墓づくりをはじめ、お墓の様々なご要望にご対応しております、一銀(かずぎん)石材の稲田圭二郎と申します。新宿区の寺院墓地に、鎌倉時代の大蔵派にならった、やさとみかげの古代型五輪塔のお墓が完成しましたので、ご紹介いたします!
新宿区寺院墓地 古代型五輪塔 石塔:茨城県産やさとみかげ 外柵:中国産御影石
お寺様からのご紹介で、古代型五輪塔のお墓を建立するお手伝いをさせていただきました。当初、ご希望のお墓の形ははっきり決まっていませんでしたので、ご一緒に墓地内にあるお墓を見て、当店で以前建立させていただいた和型墓石や、小松石の五輪塔などもご覧いただきました。後日和型と洋型、五輪塔の図面を作成してお見積りとあわせてご提案すると、五輪塔のお墓を気に入っていただくことができました。古代型というどっしりしたタイプの五輪塔で、五輪塔が好きな私もとても好きなタイプです。現地で見ていただいた小松石の五輪塔も古代型で、そちらも気に入っていただいたようです。
五輪塔は、作られた時代によって違いがあったり、同じ時代でも地域によって雰囲気に違いがあったり、それぞれの石工の特色が感じられます。私が特に好きなのは奈良・京都・滋賀の古代型五輪塔で、鎌倉時代の大蔵派という石工集団が作った五輪塔は格別です!どっしりした佇まい、形の美しさやバランスは、いつ見ても圧倒される素晴らしさです。五輪塔のお墓を製作するときは、その大蔵派の古代型五輪塔を目指して設計しています。
完成したお墓です。今回使用した茨城県産のやさとみかげは、中目で少し大きめな石目が特徴です。もちろん目の細かいものもきれいですが、私自身ははっきした石目のやさとみかげはとても好きな石です。また、手加工のお墓作りでは、磨き仕上げだけでなく叩き仕上げをすることも多く、加工の時の感触や仕上がりもとても良いので、見た目だけでなく石の質も自信を持ってお勧めできます。
五輪塔は、一番上の宝珠形の「空輪(くうりん)」、半円形の「風輪(ふうりん)」、三角の「火輪(かりん)」、円形の「水輪(すいりん)」、方形の「地輪(ぢりん)」と、5つの部位から成り立っています。古代型の五輪塔は、上の「空風輪」の部分が大きいことが特徴です。こうしてみると、笠の「火輪」の天面よりも「空風輪」が大きいことが分かります。現代の一般的な五輪塔には見られない特徴で、古代型特有の安定感や重厚感のある雰囲気になっています。また、玉の部分の「水輪」は完全な球形ではなく、下の方が少し絞れているのも特徴です。
少し横から見たところです。お写真では見えにくいですが、それぞれの部位の前面に梵字を彫刻しており、四角い「地輪」の下部には「先祖代々」と彫刻されています。何も彫刻しないもの、梵字のみ彫刻したもの、梵字と先祖代々を彫刻したもの、先祖代々のみを彫刻したものをご提案して、梵字と先祖代々の両方を彫刻することをご希望いただきました。墓誌には、細かい文字も見えやすいインド産の黒御影を使用しました。
鎌倉時代の大蔵派にならった、古代型五輪塔の完成です。お引き渡し・ご納骨は後日の予定となっていますが、きっと喜んでいただけると思います。今回のお寺のご住職はいつも一緒に五輪塔を見に行っている方で、五輪塔には詳しい方なのですが、ご覧になって「おお~!!」と感激してくださっていました^^ お客様にもご覧いただいて、ご感想をいただけるのを楽しみにしています!