都立青山霊園にて、ご先祖様からのお墓の外柵を作り替え。樹木抜根と、手加工での花立て・お線香立ての作成

東京でお墓づくりをされたい方、またご先祖様のお墓の手直しや建て替えをされたい方のお手伝いをしております、一銀(かずぎん)石材の稲田圭二郎と申します。今回は、都立青山霊園にて、ご先祖様からのお墓の外柵の作り替えと、花立て・お線香立ての手加工での作成等をさせていただきましたので、ご紹介いたします!

 

【完成したお墓】

 

知人の方から「いい石屋さんを知ってるよ!」と紹介されて、ご相談くださいました。青山霊園にお墓をお持ちのお客様でした。お墓の外柵やお墓本体が、大きくなった樹木のためにずれたり歪んだりしてしまっているので、外柵を作り替えたいというご相談でした。ただ、ご先祖様から大切に受け継いできたお墓本体は残したいとご希望でした。

まずはお墓を見に行かせていただきました。お墓本体は、福島県産の江持(えもち)石で作られたお墓で、100年ほど経っている歴史あるお墓でした。心配されていた樹木はかなり大きく成長していて、お墓のあちこちに支障が出てきていました。

お客様には、一度お墓本体と外柵すべてを取り外して解体し、樹木を抜いてから外柵を新しく作ることをご提案しました。また、花立てとお線香入れが古くて傷んでいたので、これも作り直しをご提案し、採用していただきました。

それでは工事に入ります!

まずはお墓と古い外柵をすべて解体して取り外しました。その後、印のある木を伐採・抜根していきます。左側の木は根からすべて取り除きます。右側の木はお隣の敷地にもまたがっている大きな木だったので、管理事務所へ確認して許可を得て、こちらの敷地内の部分のみ根を切ることになりました。

右側の木も大木ですが、左側の木もかなり深くまで根が張っていました!

 

両方の木の抜根が終わりました。

 

右側の木の根元です。敷地内のみきれいに取り除いて、このようになりました。

抜根が終わり、次は基礎工事に入ります!

 

外柵部分の真下に基礎を打っていきます。地面を掘り下げて砕石を入れて地固めをし、コンクリートを打つため鉄筋を組んでいます。

 

コンクリートを流し込んで養生が終わり、木枠の型枠を外しています。これで基礎工事が完了です。

敷地の外側にある木の杭は、「やりかた」といって、お墓の外柵の石が座る場所を決めるための高さや角度の基準となるものです。

 

「やりかた」に従って、階段石や外柵の据え付けが完了しました。しっかりとした厚みのある外柵石です。

その後、カロートを据えて砕石を入れて埋め戻し、お墓を据え直したら完成です。

 

完成しました!

 

こちらが古くから受け継がれてこられた江持石のお墓です。とても珍しい形をしていて、私も見るのは初めてでした。お墓を一旦解体した際に現地できれいに水洗いしてできる限り汚れを取りました。江持石は、御影石のようにピカピカになるのではなく、磨いた状態でもこうした味わい深い質感の石です。昔ながらの造りということもあって、芝台の合口(石と石のつなぎ合わせ部分)も少しうまくいかないところがあったので、現場で合うように加工したりということもしました。

ひびが入っていた花立ては、今回新しく作りました。お墓本体と同じ江持石です。形は以前と同じもので、石塔に合わせて手加工で作成しました。今はお墓本体と色が違っていますが、年月が経つにつれて馴染んで、お墓と同じように味わいある風合いになります。お客様にご説明すると気に入ってくださって、作成させていただくことになりました。お線香立ても古くなって使いにくい状態だったので、同じ江持石で作っています。

 

墓誌は、お客様のご希望で新しくお作りしました。細かい文字も見えやすいインド産黒御影石で、敷地が広いので横幅のある形にしました。敷石は雨が降って濡れても滑らないように、ビシャン仕上げにしています。砂利は三重県伊勢市の「伊勢砂利」という本砂利で、少し錆系の落ち着いた色合いです。年月を経た味わいのあるお墓ともマッチしています。

(当店のこだわりの手加工のようすや仕上げについては、こちらをごらんください→ 「こだわり手加工」)

 

ご納骨が終わってお引渡しも無事終わりました。「うちのお墓ってこんなに広かったの!?」とびっくりされていました^^ 木がなくなってすっきりしたことで、広く感じられるようになったのかもしれません。ご先祖様から長く守ってこられた大切なお墓が、ずれたり歪んだりしてしまっていることは、とても心配されていたと思います。今回の工事でお手入れもしやすくなり、お参りしやすくなりましたので、これからはどうぞ安心してお参りください!

今回の工事は、真夏のとても暑い時期だったことが印象に残っています^^; こんな時期でもお参りの際、広い敷地の草取りやお掃除をされるのはとても大変だったろうなと思いながらの作業でした。
また今回は、外柵は新しくしましたが、お客様のご希望で古くからのお墓をきれいにして据え直しました。現代のような技術や道具のない昔のお墓にはよくあることですが、石と石がきれいにぴったり合わなかったりすることもあります。今回の据え付けの際はそうした微妙なところを現場で加工して調整し対応したことなど、勉強になることもたくさんありました。また、お墓に合わせて花立てや線香立てを昔ながらの手加工で作成するなど、私どもでできる限りのお手伝いをさせていただきました。「ご先祖様からの大切なお墓を残したい」というお客様のお気持ちに少しでもお応えできていましたらうれしく思います。今後ももしお困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお声かけください^^